2)単胴高速艇船型
イ.理論解析
・単胴高速艇に関して動揺の少ない乗り心地の良い船型の設計指針を理論解析により調査する。すなわち、ある船型を原型として想定し系統的に設計主要目を変更した場合に単胴高速艇の動揺特性がどのように変化するのかを明らかにすることを主目標とする。
・船型の評価は船酔いと関連が強いと想像される向波中の上下加速度及び横波中の横揺れ角について行う。尚、横揺れ角についてはフィンスタビライザなど制御装置の影響は考慮しないこととする。
・波浪スペクトラムは短期予測で標準的に使用されるISSCスペクトラムを用いることとし、平均波周期を種々変化させながら検討を進めることにする。
・理論計算法は2次元特異点分布法を用いたOSMを基本とするが、高速艇の運動はチャインなど非線形要素の影響[1][2]が大きいため、線形計算と非線形計算により検討を行い計算法の相違による運動評価の差を明確にする。
・計算は船の状態として満載状態、航海速力を考え、長波長不規則波中の上下加速度及び横揺れ角有義振幅を求める。
ロ.高速艇の定義
高速艇の定義については今までさまざまな場面で論議されてきたが、ここでは1993年にIMOより提案されたHigh Speed Craft Code(以下HSC Codeと略す)により高速艇を定義する。HSC Codeによる高速艇の定義は以下の通り。
ハ.理論検討対象船型の選定
高速艇は巡視艇や漁業取締り船などの業務艇から離島を結ぶ旅客船など様々な用途に利用されるが、本研究では乗り心地の問題を主目的に扱うため旅客艇に限り検討を行うこととする。
(1)高速旅客艇の就航実績調査[3][4][5][6〕
本研究で取り扱う原型船型を選定するため表3.1.2一1に示すように国内で単胴高速旅客艇として建造実績のある船舶の主要目を調査した。図3.1.2一1にこれら高速旅客艇の船長と
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